庄野昌彦代表質問 (全文) 令和3年6月24日

庄野議員登壇

新風とくしまを代表して、県政の重要課題について質問します。知事はじめ理事者の皆様方には、温かい御答弁をお願いしておきます。

①それではまず、グリーン社会実現に向けた取組についてお伺いします。

国連のアースデーである四月二十二日に合わせて、気候変動サミットがオンラインで開催され、世界から四十か国が参加いたしました。菅総理は、昨年十月、二〇五〇年までに日本の温室効果ガス排出を実質ゼロにすることを打ち出し、さきのサミットでは、その中間目標となる二〇三〇年度までに二〇一三年度比四六%削減を表明しました。

脱炭素社会を現実のものとするその実現のためには、国による法令に基づく制度の構築や財源の裏づけを伴う強力な政策展開が不可欠であり、このため、国においては、再生可能エネルギーの実装拡充やイノベーション実現により経済と環境の好循環を生み出していくグリーン成長戦略の策定、民間企業のイノベーション実現に向けた研究開発を支援する二兆円基金の創設、自然エネルギーの導入拡大や自治体の取組強化を盛り込んだ地球温暖化対策推進法の改正など、全省庁の総力を挙げた取組に着手しようとしております。

また、民間事業者においても、経団連が発表した各事業者によるイノベーションを通じて、二酸化炭素排出ゼロの社会を目指すチャレンジ・ゼロ宣言を行い、日本を代表する企業が多数参加したと聞いております。企業活動における脱炭素化も本格的に動き出したなあと実感しております。

こうした状況から、国、地方自治体、地域企業などが一丸となって、自然エネルギーのポテンシャルが高い地方から脱炭素化の取組を進めていくことが、限られた時間の中でのカーボンニュートラルを実現する上で非常に大切なことであると考えております。
徳島県ではこれまで、自然エネルギー協議会会長県、全国知事会会長県として、自然エネルギーや水素エネルギーの積極的な導入をはじめ、グリーン社会の実現に向けた取組を積極的に進めてきました。今議会の所信表明でも、県版脱炭素ロードマップ策定について言及されております。今後も、全国に範を示すような取組が大いに期待されるところであります。

そこで、お伺いします。
グリーン社会実現に向け、県として今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。

②次に、有機農業の推進についてお伺いします。
国は、本年五月、カーボンニュートラルなどの環境負荷軽減などによる持続可能な食料システムの構築に向けて、みどりの食料システム戦略を策定いたしました。本戦略は、長期的な視点に立って、我が国が二〇五〇年までに目指す姿を、調達、生産、加工流通、消費のそれぞれの分野ごとに、革新的な技術により実現することとしており、経済成長とグリーン社会の実現を目標とした戦略となっております。

特に、農薬や化学肥料を使わないことで化石燃料の削減につながる有機農業の取組面積については、耕地面積に占める割合を二五%、百万ヘクタールにまで拡大することとしており、現状の全国的な数値である〇・五%、二万三千ヘクタールと比較すると、非常に野心的な目標設定であると思います。

近年の有機農業の取組面積については、国内における有機農産物の消費拡大とともに徐々に拡大してきていると認識しておりますが、やはり特別な食材とのイメージが大きいため、取扱いは限定的で、契約栽培や宅配型通販などでの流通が大部分であると聞いております。

二〇五〇年というと、かなり先のように思われますが、少しずつみんなが問題意識を持って前向きに取り組んでいけば、道は開けてくると思います。有機農業の拡大には、生産技術の問題解決も重要でありますが、農業関係団体のみならず、流通、消費に係る関係機関との連携も重要であり、また農産物を購入していただく消費者の理解なしには目標を達成することは難しいのではないかと思っております。

そこで、本戦略により、有機農業にこれまで以上にスポットが当たると考えたときに、本県の取組として、全国の消費者に、徳島県の農産物は環境に優しく安全・安心で高品質というイメージを発信することが非常に重要であると考えております。
そこで、お伺いします。
エシカル消費先進県として、有機農業の拡大に今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。

③次に、新型コロナワクチン接種の促進についてお伺いいたします。
コロナの感染拡大が続き、なかなか収束が見えない中、医療関係者をはじめ、関係する全ての皆様方に心から敬意と感謝を申し上げます。また、療養中の方々の回復を心から願っております。

これからも、マスク、そして三密を避けるなどの感染防御対策と同時に、ワクチンが国民に行き渡ることによる早期の収束を心から願っております。

ワクチン接種については、国民の期待が高まっている中、二月十七日に医療従事者の先行接種が始まり、三月五日から医療従事者の優先接種、そして四月十二日から高齢者の優先接種が開始されております。六十五歳以上の方を打ち終えると、次のステージに移行しますが、なるべく早く希望者全員に接種することが重要であると考えております。

そのような中、企業や大学において実施する職域接種の取組は、市町村の行うワクチン接種と並行して、希望する方に行われるという点で、注目すべき取組であります。職域接種については、市町村において接種券が発行されていない方が多数接種を受けることになるというふうに考えますが、接種券がない場合、お聞きすると、名簿の管理が必要であるほか、接種券が届くまでは費用の請求ができないなど、事務の負担が大きいと聞いております。接種を効率よく進めるためには、市町村において、できるだけ早く接種券を発行していただく必要があると考えております。

そこで、お伺いします。
新型コロナワクチン接種の促進のため、接種券の早期発行について、県として市町村とどのような形で取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。

④次に、オリンピック・パラリンピックの事前キャンプについてお伺いいたします。
七月二十三日のオリンピック開幕まであと一か月を切ったところであり、国や大会組織委員会が大会実施に向けて準備を急ピッチで進めているとの報道を目にすることが多くなりました。本県においても、ドイツやネパール、ジョージアの代表チームが事前キャンプを計画しているとのことであり、来月初旬から順次お越しいただく予定とお聞きしております。

そこで心配なことは、やはりコロナウイルス対策であります。四年に一度の大舞台に向けて大変な努力を重ねてきておられる代表選手に、万が一にもコロナウイルスを感染させてはいけませんし、県民の皆様が感染することになってもいけません。コロナウイルス対策を万全にして選手をお迎えする必要がありますので、この点については用心に用心を重ねて準備をしていただきたいと要望いたします。

また、代表チームを心から応援していただくためには、キャンプではコロナ対策を十分に講じていることを説明し、県民の皆様に理解していただく必要があると思います。私は、本県での事前キャンプ実施は、これまで取り組んできたスポーツをはじめとする国際交流の総決算であり、県民の皆様、特に子供たちにとって、すばらしい体験になることは間違いないと考えておりました。世界の代表選手が来県するというまたとない機会でありますので、コロナ禍の中、なかなか難しいとは思いますが、何らかの形で県民の皆様と選手との交流について実現していただきたいと考えております。

選手の方々や対応する関係者の皆様には大変な御負担があると思いますけれども、安全に配慮し、本県での事前キャンプを行っていただきたいと期待しております。

そこで、お伺いします。
本県で実施するオリンピック・パラリンピック事前キャンプについて、新型コロナウイルス感染症対策をどのように講じていくのか、お伺いいたします。

⑤次に、学校における働き方改革についてお伺いいたします。
本年三月、小学校の一クラスの児童数の上限を三十五人とする改正義務標準法が成立し、本年度から五年間かけて、小学校の全学年が三十五人学級となる予定です。これに伴い、今後、教員の計画的な確保が必要となりますが、近年、全国的な教員不足が指摘されています。文部科学省は、自治体によっては年度初めに必要な教員を配置できない事態が生じていることを受け、教員不足に関する全国的な実態を把握するため、初の全国調査を実施する方針を明らかにしています。

さらに、全国の教員の採用倍率は、年々低下傾向にあります。令和元年度の小学校教員の採用倍率は、全国平均で二・七倍、自治体によっては二倍を下回るところもあり、今後、質の高い優秀な教員をいかに確保していくかは喫緊の課題であります。

一方で、教育現場においては、教員は子供たちの学習指導のみならず、部活動の指導や保護者への対応、最近では感染症対策やGIGAスクール構想への対応など、非常に幅広い業務に日夜追われております。こうした激務の中、心身に支障を来す教員は、近年、全国的に増加傾向にあり、文部科学省の調査では、令和元年度の精神疾患による病気休職者数は全国で過去最多であったとのことであります。

次世代を担う子供たちの教育のためと熱意を持って教員になられた方々が、一生懸命頑張った末に体調を崩し、休職してしまう状況は、残念でなりません。本県の今後の教員確保のためにも、一刻も早く学校における働き方改革を実現し、勤務時間管理の徹底や外部人材の活用などにより、教員の勤務環境を改善する必要があると考えます。

そこで、お伺いします。
教員の業務負担の軽減を図るため、学校における働き方改革にどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。
御答弁をいただき、質問を続けてまいります。

(庄野議員降壇)

答弁

庄野議員の御質問にお答えさせていただきます。

①グリーン社会の実現に向け、今後どのように取り組んでいくのかについてであります。
世界各地で異常気象による自然災害が頻発化、激甚化する中、知事就任以来、環境首都を掲げる本県では、災害列島の一因とされる気候変動対策として、二〇一六年のパリ協定発効前に、全国初、脱炭素社会の実現を掲げた条例の制定、法制化に先駆けた気候変動適応戦略の策定、国の目標を上回る温室効果ガス削減目標の設定の三つの矢を放つとともに、二〇五〇年ゼロカーボンを率先して宣言するなど、全国に先駆けた取組を進めてまいりました。

また、三十四道府県、約百二十の企業で構成する自然エネルギー協議会会長県といたしまして、第六次エネルギー基本計画における国の意欲的な目標設定の提言など、国が強い意志を示すよう、地方から強力に発信してきているところであります。この結果、昨年十月、菅総理によりますカーボンニュートラル宣言をはじめ、グリーン成長戦略や二兆円基金など、グリーントランスフォーメーション、GXの政策展開につながっているところであります。

こうした中、地方の脱炭素化をさらに加速させ、国、地方のGX相乗効果を生み出していくためには、議員からもお話のありましたように、国、自治体、地域企業などが一丸となって取組を進めていくことがまさに重要である、このように認識しており、去る六月九日、私自ら、国に対し、グリーンリカバリーへの投資をはじめ、国、地方のGX促進を強く提言いたしたところであります。

また、本県の強みを生かしまして、全国初、地産エネルギー副生水素活用によります本年十一月の水素ステーションや燃料電池バス運営開始を核とした水素サプライチェーンの構築、南海トラフ巨大地震をはじめ事前復興にもつながる、地域と共生した自立分散型電力システムの確立、市場連動型の新たな売電制度でありますFIPを視野に入れました自然エネルギーを活用した脱炭素型まちづくりなど、官民一体となった施策を強力に推進いたしてまいります。

さらに、エネルギー分野のみならず、プラスチック資源のリサイクルをはじめ、3Rの促進や食品ロス削減による循環経済への移行、環境に優しい地域資源を活用した持続可能な農林水産業の推進など、脱炭素の基盤となる重点施策を盛り込んだ、二〇三〇年度までの行程と具体策を示す県版脱炭素ロードマップを、本年十二月をめどに策定し、経済と環境の好循環を生み出す取組を積極果敢に進めてまいります。
今後とも、世界の喫緊の課題であり気候危機とも言われる気候変動の脅威に正面から立ち向かうんだとの強い決意の下、脱炭素による強靱な活力あるグリーン社会徳島の実現に向け、全力を傾注いたしてまいります。

②新型コロナワクチン接種の促進のため、接種券の早期発行についてどのように取り組んでいくのかとの御質問でございますが、感染収束の切り札と言われる新型コロナワクチンの接種につきましては、医療従事者等向け優先接種が六月十一日に完了し、高齢者向け接種につきましても七月末の完了にめどが立ったところであり、今後は、八月以降に始まる一般接種に向け、ワクチン接種の流れをさらに加速する必要があります。

こうした中、市町村が運営する個別接種や集団接種に加え、六月二十一日からは、企業や大学などが運営主体となる職域接種が始まり、本県でも、十九団体、二十会場において実施または実施予定となっております。

一方、職域接種を行う主体からは、実施に当たっての課題といたしまして、被接種者に接種券が発行されておらず、接種に係る費用の請求手続が行えない、接種券が届くまでの間、大量の予診票を保管する必要があり、事務負担が大きいなどの声が寄せられ、接種券の早期発行が強く求められております。

これに対し、予防接種法上の実施主体であり接種券発行の業務を担う市町村の多くが、個別接種や集団接種の予約時の混雑等を懸念し、混乱を招かないよう、年代別に、また段階的な発送を行う予定であるというふうに伺っているところでありますが、接種券の早期発行は、職域接種に係る事務負担等の軽減に資するとともに、県民の皆様にとって、多様な接種機会を選択できることにもつながることから、ワクチン接種の促進に有用である、このように考えております。

このため、県といたしましては、各市町村の実情を丁寧にお伺いしつつ、接種券を一斉に配布する一方、予約の受付は段階的に行うなど、好事例の横展開を図るとともに、市町村に対して改めて接種券の早期発行を促してまいります。
今後とも、実施主体である市町村に対し、必要な支援を行うとともに、ワクチン接種の加速化に効果的な職域接種を推進することにより、希望される県民の皆様が一日でも早くワクチン接種を受けることができるよう、しっかりと取り組んでまいります。

③有機農業の拡大について御質問を頂戴しております。
グリーン社会の実現に向け、本年五月、国が策定したみどりの食料システム戦略は、イノベーションの活用により、生産力の向上と持続性の確保を目指すものであり、議員お話しのとおり、有機農業の拡大は環境負荷軽減に寄与する重要な取組であると認識しております。

これまで県では、有機農業につながる本県独自のエシカル農業の拡大に向け、化学肥料や農薬を五割以上削減する特別栽培、二割以上削減するエコファーマー、そして適切な生産工程管理を行うGAP認証を一体的に推進してまいりました。その結果、令和元年度のエシカル農業の取組面積は千五百三十一ヘクタールで、本県の経営耕地面積の約九%に達しているところであります。

そこで、エシカル農業をさらに推進するため、本年三月に策定した徳島県エシカル農業推進計画に基づき、生産技術の支援及び消費と販路の拡大支援を両輪として、積極的な取組を行ってまいります。

まず、生産技術の支援では、堆肥など適正な施用に役立つ土壌分析の実施、天敵を利用した病害虫防除技術の普及などに加えまして、市町村との緊密な連携の下、十アール当たり最大で一万四千円が支払われる環境保全型農業直接支払交付金の活用を促進してまいります。

また、消費と販路の拡大支援では、オーガニック・エコフェスタのリアル・オンラインによるハイブリッド開催、ECサイトを活用した販売促進、新鮮で旬なエシカル農産物などを大都市圏に直送するための運輸・交通機関との連携などを通じて、消費者の皆様へのPRとさらなる消費拡大につなげてまいります。

さらに、エシカル農業の意義と生産者の横顔をより分かりやすくお伝えするため、この秋を目途に、環境負荷軽減に取り組む生産者の方々を新たに認定する徳島県エシカルファーマー制度を創設してまいります。

こうした取組により、令和七年度には、エシカル農業の取組面積を二千二百五十ヘクタールとし、本県の経営耕地面積の約一四%まで拡大してまいりたいと考えております。
今後とも、生産者はもとより、流通・小売業、消費団体等の皆様方と連携を密にし、エシカル農業、さらには有機農業の拡大にしっかりと取り組んでまいります。

④オリンピック・パラリンピック事前キャンプにおける新型コロナウイルス感染症対策についての御質問でございますが、本県では、ホストタウンに登録しているドイツのハンドボール、カヌー、ネパールの水泳、ジョージアの車椅子フェンシングなど、選手団が事前キャンプを実施する予定であり、現在、競技団体をはじめ、国や大会組織委員会、県内ホストタウン市町と共に、鋭意、受入準備を進めているところであります。

議員お話しのとおり、今回の事前キャンプにおいて、新型コロナウイルス感染症対策は必要不可欠な要素であり、県民の皆様と選手団双方にとって安全・安心な事前キャンプを実現することが求められております。

そこで、選手団は、IOC、IPC、大会組織委員会が定める、大会参加に当たり遵守すべき事項をまとめたプレーブックに基づき、出発前十四日間の健康観察と二回の新型コロナウイルス検査、日本入国時における空港での唾液抗原検査など、入念な感染防止対策を取った上、来県されることとなります。

また、事前キャンプ実施に当たっては、国のガイドラインに基づき本県が作成した受入れマニュアルに沿って、あらかじめ決められた宿泊場所と練習施設の往復を基本とする行動範囲の制限、毎日実施するPCR検査、貸切りバス等、移動時の専用車両の利用に加え、航空機搭乗時の他の乗客との安全な距離の確保、宿泊や練習施設での他の利用客との動線分離など、参加国、競技ごとに厳密なルールを遵守することで、感染防止対策を徹底いたします。

このような厳しい対策を講じる中におきましては、残念ながら、これまでのように代表選手と県民の皆様が直接触れ合う機会を設けることはかないませんが、距離を十分取った上での練習見学、オンライン会議による選手との対話など、接触、接近を伴わないよう留意しつつ、できる限りの交流を生み出してまいりたいと考えております。

今回の事前キャンプ期間中、活動する全ての場所において、感染防止対策を十分に講じることで、代表選手に大会で最高のパフォーマンスを発揮していただけるよう配慮するとともに、様々な制約を乗り越えた新たなスタイルの国際交流を実現することにより、県民の皆様方に夢や感動を提供し、将来に継承するスポーツレガシーの創出につながるよう、全力で取り組んでまいります。

⑤教員の業務負担軽減を図るための学校における働き方改革についての御質問でございますが、全国的な教員不足が指摘される中、子供たちが質の高い教育を受けられるよう、優秀な教員をしっかりと確保していくためには、教員の業務負担軽減を図る学校の働き方改革の取組をより一層加速していく必要があります。

県教育委員会では、平成三十年度に、とくしまの学校における働き方改革プランを策定し、教職員研修の見直しや出張の精選など業務改善に取り組んだ結果、プラン最終年度の令和二年度末の時間外在校等時間は、平成二十九年度に比べて、小学校で約二〇%、中学校で約二五%削減されるなど、一定の成果があったところです。

一方で、一か月間の総時間外在校等時間が四十五時間を超える教員の割合は、依然として、小学校では半数近く、中学校では六割以上といった課題があることから、本年三月、新たに第二期働き方改革プランを策定し、令和三年度から五年度までを新たな推進期間として、学校における働き方改革を強力に推進しております。

具体的には、令和三年度から全ての公立小中学校に導入した出退勤管理システムを含むグループウエアの活用によるタイムマネジメントの徹底、県下統一した統合型校務支援システムの導入により、成績処理や出欠管理、通知表の作成など、手書き、手作業の多い教員の校務の効率化を図る業務改善の一層の推進、学びサポーター、スクール・サポート・スタッフ、部活動指導員といった外部人材の活用拡充など、教員の負担軽減を一層推進してまいります。

また、教員が一人でストレスを抱え込まないよう、風通しのよい職場環境づくりの推進や、精神科医や臨床心理士等による教職員相談事業について広く利用していただけるよう、メンタルヘルス研修時やホームページなどにより改めて周知に取り組むとともに、病気休職になった場合でも、その円滑な職場復帰を図るため、臨床心理士によるきめ細かな相談体制を構築するなど、教員の心のケアにしっかりと取り組んでまいります。

県教育委員会といたしましては、教員が子供たちと向き合う時間を確保し、効果的な教育活動や教職の魅力化につながるよう、引き続き、市町村教育委員会や学校と一体となって、学校における働き方改革を強力に推進し、教員が働きやすい職場環境づくりに全力で取り組んでまいります。

答弁に対するコメント

(庄野議員登壇)
それぞれ御答弁をいただきました。私のコメントをさせていただきます。

グリーン社会実現に向けた取組については、飯泉知事から力強い答弁をいただきました。
本県では、水素にいち早く着目し、取組を進めてまいりました。我が会派からも、多くの水素の利活用について申し上げてきましたが、このたびは、道の駅いたのにも水素ステーションが整備され、いよいよ本格的な運用になるのかなあというふうに大変期待している一人でございます。これからも、県版脱炭素ロードマップ策定ということが始まりますけれども、全ての分野でグリーン社会推進が進むことを期待しております。

それから、有機農業の推進につきましては、これは国がみどりの食料システム戦略の一環として、農業における脱炭素戦略としての方針提起がなされております。SDGsの推進として、かなりの期待がかかる分野でございます。

部長からも丁寧な説明がございましたけれども、実現に向けて一歩一歩、関係者、また何よりも消費者の御理解をいただきながら、有機農業の推進については進めていっていただきたいというふうに思っております。

また、福井副知事さんのほうからは、新型コロナワクチンの接種券について御答弁がございました。
私は、早期に二回の接種をすることが大変重要だと思っております。接種券については、どのタイミングでどの年代の方に発送するのか、各自治体にとって大変難しい判断だとは思いますけれども、好事例の一つということで先ほど御紹介いただきましたので、ぜひ接種券が早期に届いて、そして希望する全ての方に早期にワクチンが打てるような状況になればいいなというふうに思っております。

職域接種時に、接種券があるのとないのとでは、日々の接種済みデータというのが、日々どの県でどれだけ出たかというのが表れるらしいんですけれども、日々の接種済みデータの把握が、接種券があると迅速にできて、そして次にどこの県にワクチンの供給をするのかということがスムーズにいくというふうに聞いておりますので、ぜひ各自治体とも相談の上、スムーズに進みますように心からお願い申し上げておきます。

それから、部長さんのほうからは、オリンピック・パラリンピックの事前キャンプについて答弁がございました。
本当に感染対策が各スポーツごとにきちんと取られているということで、私は一つは非常に安心いたしました。トップアスリートとの交流を楽しみにしていた地元の方々にとって、可能な形での歓迎がなされ、できるだけ選手が本番で大活躍できるようなお手伝いをお願いしておきたいと思います。

さて、教育長からは、学校における働き方改革について、丁寧な御説明がございました。
私はかねてから、先生方の負担が、近年重過ぎるのではないかという見地から、幾度か質問してまいりました。改善策として、教職員の出退勤の正確な把握や、クラブ活動をサポートする人材の確保など、大きな前進を見ております。ただ、保護者対応などで非常に精神的に大きなダメージを受ける教職員の方もおいでます。精神的なサポート、心のサポートにも今後ますます力を入れていっていただきたいというふうに思っております。

質問

それでは、質問を続けてまいります。

⑥次に、鳥インフルエンザ対策についてお伺いいたします。
令和二年度の高病原性鳥インフルエンザは、昨年十一月に一例目を確認してから本年三月までに、全国十八県で五十二事例の発生が確認され、殺処分羽数約九百八十七万羽と、過去に例を見ない被害がもたらされました。本県養鶏場においても、初めて本病の発生が確認され、阿波市、美馬市の二事例、合わせて約一万五千羽の飼育鶏が殺処分されたことは、今でも記憶に新しいところであります。

隣接県や本県での発生に対しては、関係者の御協力の下、鶏舎の消毒や消毒ポイントの設置などで、多くの方々の御協力を得る中で、迅速な防疫対応が実施され、終息を見ることができました。関係各位には、昼夜を問わずの対応に、心からの敬意と感謝を申し上げます。

しかしながら、飼育鶏や肉用素びなの移動、搬出が制限されたことなどにより、多くの生産者が経済的影響を受けました。言うまでもなく、本県の養鶏産業は、肉用鶏出荷羽数全国六位、地鶏出荷羽数日本一を誇る阿波尾鶏を有するなど、全国上位に位置し、食鳥処理加工、流通を含め、多くの雇用の場を創出するなど、地域経済に大きく貢献しており、本県で二度と発生させないための対策、そしてその重要性を改めて考えさせられたところであります。

国におきましても、全国的な発生状況を踏まえ、家禽疾病小委員会及び疫学調査チームの合同検討会を開催し、野生動物を介した農場内及び家禽舎内へのウイルス侵入防止の徹底、初動防疫を迅速に措置するための早期通報の徹底などの対策について、先般五月十四日に提言がなされたところであります。

こうしたことから、県として、昨年度の防疫対応の経験、さらには国の提言内容を踏まえ、より一層の防疫体制の強化を早急に図り、本県の養鶏産業や地域経済を守り抜いていただきたいと思います。

そこで、お伺いします。
今シーズンの高病原性鳥インフルエンザ対策について、どのように進めていくのか、御所見をお伺いいたします。

⑦次に、県消費者情報センターについてお伺いします。

消費者情報センターの存在意義は、県民の方々の消費者トラブルを未然に防いだり、困ったときに相談に応じ、最もよい解決策を見いだしてくれる、我々が安全・安心な消費生活を送る上で不可欠な公共サービスであります。

現在、県のセンターに対する令和二年度の消費生活相談件数は、前年度比七十一件増となる二千六百三十六件であり、三年ぶりに増加しております。コロナ禍が長期化する中で、増加の要因としては、やはりコロナ関係の相談件数が二百二十六件に上ったことが大きいとされております。

寄せられた相談の内訳を見てみますと、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるマスクの品薄や高額販売、結婚式やコンサートのキャンセル料といった時代の最新動向を反映した相談が多かったとのことであります。また、全国的には、ワクチン接種に絡めて金銭を要求するといったワクチン詐欺が疑われる相談も寄せられていると聞き及んでおります。
このように、時代の変化の中で、消費者は知らず知らずのうちに消費者トラブルに巻き込まれてしまう危険にさらされており、だからこそ、県消費者情報センターとしても、新たな手口の情報をつかみ、迅速に発信するとともに、的確なアドバイスを行うという役割を積極的に果たしていくことがますます重要になっていると感じています。

折しも今議会において、消費者情報センターのアミコビルへの移転予算が計上されており、駅前の商業施設という好立地を生かし、より県民が相談に来訪しやすく、効果的な注意喚起と啓発も可能になるものと、新たなセンターに私も強く期待しているところであります。

そこで、お伺いします。
消費者の暮らしを守る大切なとりでである県消費者情報センターについて、ハード、ソフト両面から、さらなる進化を図るべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

⑧次に、アフターコロナに向けたワーケーションの展開についてお伺いいたします。

新型コロナウイルスが大都市部の脆弱性を露呈させたことで、昨年九月に二十代から五十代までの千五百人を対象として実施したインターネットによるニューノーマルの働き方に関する調査では、六割近くの方が、特に二十代、三十代の若者では約七割の方が、ワーケーションに取り組んでみたいと回答したことが報道されています。

多くの大企業で取り入れたテレワーク、これを地方で行うワーケーションに必要なのは、何をおいても高速な通信環境ですが、本県は、飯泉知事が先頭に立って進められてきた全県CATV網の整備によって、全国屈指の光ブロードバンド環境が整備されております。また、本県では、昨年度より、この環境を最大限に生かして、自然や文化など、他とは違う徳島ならではの強みを組み合わせ、旅行会社や県内のコワーキングスペースなどとも連携することにより、徳島独自のワーケーションをアワーケーションとして事業展開をされているところでございます。

いよいよ新型コロナ対策の切り札となるワクチン接種が本格化し、地方への高まる意識を持った若い世代の皆さんを徳島へ呼び込んでくるアフターコロナに向けた政策についても加速していかなければなりません。

そこで、ワーケーションを、単に仕事のついでに徳島で遊んで帰る一過性のものではなく、来ていただいた皆さんと積極的に地域が交流できる仕掛けをすることで地域活性化につなげ、また徳島とのゆかりを深め、徳島への愛情を育むことによる将来的な移住へと発展させていくことが重要と考えるところであります。

そこで、お伺いします。
ワーケーションによる交流から将来的な移住への発展も見据え、アフターコロナに向けたワーケーションの展開についてどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。

⑨次に、農林水産業の担い手確保についてお伺いいたします。

今、人口減少対策として、国を挙げて地方創生の実現を重要課題と掲げ、それぞれの地方で様々な対策が行われていますが、私は、人口増に結びつく効果的な対策は移住促進であると考えております。

これまでにも、県では、「とくしま回帰」住宅対策総合支援センターなどにおいて移住促進に向けた取組が行われてきたことは承知しておりますが、コロナ禍で、実際に現地に見に来られない方が増えたこともあり、令和二年度の移住実績は令和元年度を下回ったとも伺っております。

一方、まち・ひと・しごと創生基本方針二〇二一案においても、新型コロナウイルス感染症は、地域経済や住民生活に大きな影響を及ぼしている反面、地方への移住に関する関心の高まりとともに、テレワークを機に、人の流れに変化の兆しが見られるなど、国民の意識、行動が変化してきているとされていることから、アフターコロナを見据え、仕事と住居をセットとした移住促進対策をこれまで以上に加速していくべきであると考えております。

県内の農山漁村地域に目を向けますと、過疎化の進行により、かつては農業、林業、漁業、畜産業、いわゆる一次産業が盛んであったところがたくさんございます。そこが、高齢化や人口減少に伴う担い手不足により、今こういう現状になってきているところであります。

この課題を解決するためには、地方回帰の流れを捉え、徳島県の持つ豊かな自然環境や移住支援制度と併せて、農林水産業の魅力を効果的にPRすることにより、県内外から、農林水産業をなりわいにしたいという方を呼び込み、未来の担い手として定着していただくことが、地域活性化に有効であると思います。県には、ぜひとも市町村や関係者としっかりと連携し、農林水産業に興味のある方々や新規就業を目指す方々を農山漁村にしっかりと引き込み、将来の担い手として定着できるよう、取組を進めていただきたいと考えております。

そこで、お伺いします。
農林水産業の担い手確保にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

⑩最後に、認知症の方への社会参加への支援についてお伺いします。

私は、過去の質問で、農福連携の推進を求めてきました。その成果はだんだんと大きくなってまいりました。これからも福祉分野と農業分野を結びつけ、ともにウィン・ウィンの関係が推進されるようにお願いしておきたいと思います。

さて、今回は、認知症の方々の社会参加を促していくべきとの観点から質問します。
五月十九日の日本農業新聞によると、今、認知症の人たちが農林業の現場で活躍する機会が広がっており、竹林の整備や農産物の生産販売などを通じ、認知症になっても住み慣れた地域で自分らしく生きる、このような事例があります。二〇二五年には高齢者の五人に一人が認知症になることが予想される中、農林業が期待されております。

東京都町田市のHATARAKU認知症ネットワーク町田では、認知症と診断され、がっくりとし、廃人になるのではないかと一時思ったが、認知症を受け入れて、竹林の整備をする今は生き生きとし、そこの参加者は認知度が数年変わらず、医師も驚いているといいます。やはり体を動かすこと、やりがいを見つけることは大変重要なことだと思います。
慶應義塾大学の堀田教授によると、認知症になると人とのつながりが減り、望む暮らしを断念して、支援を受けるばかりになってしまうことがいまだ多い。社会参加は、やりたいことを諦めず、地域で暮らし続けることを助ける手がかりの一つになる。緑豊かな環境で、仲間と体を動かし、農産物の生育を楽しみ、育てたものが人に届く喜びを感じられる農業は、認知症の人にとっては社会参加の場としてとても向いている。収穫や袋詰めなど多様な役割があるため、それぞれができることを見いだしやすいと言われております。

本県では、認知症サポーターの養成が進められており、サポーターからは、もう少し踏み込んだ支援をしたいといったような声も聞こえてまいります。厚生労働省では、一九年度から、認知症の人の社会参加のための体制整備を支援しており、市町村に配置されている認知症地域支援推進員が調整し、農家や企業と認知症の人へのマッチング支援や、マルシェなどイベントの開催支援を行っています。

そこで、お伺いします。
県としても、市町村と連携し、認知症の方の社会参加を推進していただきたいと考えますが、御所見をお伺いします。

答弁をいただき、コメントを申し上げたいと思います。

答弁

⑥まず、高病原性鳥インフルエンザ対策について御質問をいただいております。

昨年度、全国各地で猛威を振るった高病原性鳥インフルエンザは、平成二十二年度、過去最高の百八十三万羽をはるかに上回る九百八十七万羽の飼育家禽が殺処分される未曽有の被害となり、県内におきましても、養鶏場では初の事例が、昨年の十二月十九日、阿波市で、その後、二例目が、本年二月九日、美馬市で確認されたところであります。

こうした状況に対し、県境での消毒ポイントの設置、全養鶏農家への消毒用の消石灰や殺鼠剤の配布、また県内発生時には、養鶏場周辺のため池の除草、消毒、また泡殺鳥機を用いた迅速な殺処分の実施などに取り組み、被害を最小限に食いとどめたところであります。

一方、議員お話しのとおり、今回の防疫対応の経験や国の疫学調査チームの提言などを踏まえまして、発生予防対策や蔓延防止体制のさらなる強化が必要であると、強く認識させられたところであります。

そこで、今シーズンは、徳島発のモデルといたしまして、国内外の発生状況に渡り鳥の飛来状況や野鳥のふん便調査などを加味いたしました鳥インフルエンザ発生アラートを新たに設定し、早め早めの注意喚起を行ってまいります。

また、個々の養鶏農家の皆様方に対しましては、国の飼養衛生管理基準に定める作業要因に加え、鶏舎の築年数や構造などの施設要因、ため池の有無などの環境要因、そして本県独自のこれらについてのリスク評価手法を導入させていただき、リスクの高い養鶏場の重点指導をはじめ、きめ細やかな防疫指導を展開いたしてまいります。

さらに、養鶏場近隣のため池につきましては、先手を打って、渡り鳥の飛来シーズン前から、関係者と連携いたしました除草、消毒を行うなど、発生予防対策を強力に展開いたしてまいります。

また、複数農場での発生に備え、迅速な検査体制を構築するための検査機器や、狭隘な現場でも対応可能とする泡殺鳥機のハンディー化備品を新たに整備し、蔓延防止体制をさらに強化いたしてまいります。

加えて、去る六月十七日、一般社団法人徳島県産業資源循環協会との家畜防疫支援協定の締結によりまして、協定締結団体が十一団体・企業に拡大したところであり、これら関係団体や市町村などと連携し、実践的な演習あるいは訓練、これらを積み重ねてまいります。

今後とも、本県畜産業をしっかりと守り抜いていくため、高病原性鳥インフルエンザを二度と持ち込ませない、発生させないとの強い決意の下、万全の対策を講じてまいります。

⑦次に、ワーケーションの展開について御質問をいただいております。

今般のコロナ禍によりまして、働く場所を選ばないリモートワークが普及したことを受け、仕事、ワークと、休暇、バケーションを組み合わせたワーケーションが、地方の人の流れをつくる処方箋として、今、大変注目を浴びているところであります。

リモートワークに必須となる全国屈指の光ブロードバンド環境を有する本県におきましては、山間部や過疎地でも超高速でネットが利用できるどころか、東京、大阪よりもハードユーザーがおりませんので、より通信速度が速い、言わば世界一とも呼ばれておりまして、インフラの優位性に、藍染めやスタンドアップパドル、SUPなど、ここでしか体験することのできない自然や文化の魅力を組み合わせ、徳島ならではのアワーケーションといたしまして、昨年度より、観光事業者や県外企業に向け、積極的な情報発信を展開いたしているところであります。

本年三月には、首都圏や関西圏から、感染対策を徹底の上、御来県いただきました十二社二十四名の方々に、都会の喧騒を離れ、仕事と併せ、座禅やそば打ちなど、非日常の中で仕事や暮らしを体感するモニターツアーを開催させていただきまして、その成果も踏まえ、県内コワーキングスペースや観光スポットを網羅いたしましたアワーケーションマップを作成いたしたところであります。

こうした県の動きに呼応する形で、海陽町では企業の保養所を、三好市では小学校の廃校舎を、ワーケーションをターゲットとした施設へと改修するなど、全県展開に向けた動きが加速しているところであります。

議員お話しのとおり、この機運を逃すことなく、交流人口の拡大だけではなく、人口減少に悩む地域の課題解決へとつなげるためには、単なるワーケーションの枠を超え、地域との絆を深め、地域づくりを担う関係へと発展させていくことがまさに重要となるところであります。

そこで、今年度より本県に在籍いただいております航空会社との人事交流スタッフを中心といたしまして、その人脈やノウハウを生かし、ワーケーション誘致を一層強化いたしますとともに、新たに、サテライト企業と連携いたしました地域コーディネーターの設置によりまして、環境活動や農作業、森づくりやジビエ体験など、気づきや学びをもたらす地域活動のプログラム化を図ってまいります。

八月には、その第一弾として、航空会社の企画により、首都圏企業を中心に、上勝町にお越しいただき、ゼロ・ウェイスト活動を体験する新たな旅と学びのプログラムを展開し、アワーケーションの魅力を大いに発信いたしてまいります。

今後とも、新型コロナにより高まる地方回帰の機運をしっかりと捉え、大きな人の流れを生み出せるよう、本県との絆を築く徳島ならではのアワーケーションの推進に積極果敢に挑戦いたしてまいります。

⑧県消費者情報センターのさらなる進化を図るべきとの御質問でございますが、社会経済の急速なデジタル化や特殊詐欺の手口の複雑・巧妙化など、消費者を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中、消費生活相談への助言、あっせんなどにより、県民に寄り添ったトラブル解決を図る、まさに消費者問題対応の最前線基地とも言える県消費者情報センターの果たす役割は、ますます大きなものとなってきております。

これまでも、このセンターでは、消費生活相談員有資格者養成講座の実施や、外国人向け消費者啓発専用ホームページの開設、成年年齢引下げを見据えた幅広い情報提供など、新たな課題への即応策を展開してきたところでございます。

このたびの県消費者情報センターの移転に際しましては、議員御提言のとおり、交通の要衝である徳島駅前に位置し、商業施設、公共施設など多くの集客施設が入居するアミコビルの立地環境を最大限に生かして、あらゆる年齢層の方々がセンターを身近な存在として感じていただけるよう、ハード、ソフト両面からさらなる進化を図ることが不可欠であると考えております。

そこでまず、誰もが訪れやすい施設とするため、オープンカウンターを新たに備え、明るく開放感のある雰囲気を演出し、本県における消費者行政の玄関口を目指してまいります。

また、啓発、情報発信機能の充実を図るため、大型4KモニターやVRなどで、本県作成のSDGs教育教材をはじめ、消費者問題に係る様々な動画を上映するとともに、その時々のテーマに合わせた展示やイベントを、近隣テナントとの新たな連携を図りつつ実施してまいりたいと考えております。

さらに、消費生活相談機能の充実を図るため、テレビ会議システムやタブレット端末を新たに導入し、県のセンターと市町村のセンターとの間で、より一層円滑な意思疎通や情報共有を行うとともに、近年、全ての年代で相談の上位を占めるデジタルコンテンツに関する消費生活相談にも積極的に活用してまいります。

今後とも、新時代の潮流を的確に捉えながら、県消費者情報センターの各種機能の進化を図り、新次元の消費者行政、消費者教育の成果を県民の皆様方にこれまで以上に実感していただけるよう、創意工夫を凝らしてまいります。

⑨農林水産業の担い手確保について御質問を頂戴しております。

農林水産業の維持発展はもとより、将来にわたり活力ある農山漁村を実現するためには、次世代を担う人材の育成確保が何よりも重要であると認識しております。

これまで、新規就業者の確保に向け、就業希望者と生産現場をマッチングする農林水産就業相談窓口を設置するとともに、とくしま農林水産未来人材スクールを開設し、若い生産者の方々が生き生きと活躍する姿、農業、林業、漁業、各アカデミーの充実したカリキュラムなど、本県農林水産業の魅力や質の高いサポート体制を、SNSにより動画で県内外へ積極的に発信してきたところでございます。

また、昨年八月には、勝浦町にかんきつテラス徳島を開設し、徳島かんきつアカデミーの研修拠点として、より実践的な研修環境を整備するとともに、新たに施設園芸アカデミーを開講し、官民連携の下、超多収、超省力といった最新のスマート技術を使いこなせる人材の育成に取り組んでまいりました。令和元年度には、本県農林水産業に、県外移住者二十七名を含む百九十七名の新規就業が実現したところでございます。

議員お話しのとおり、コロナ禍を契機に、地方移住への関心がより高まっており、この機会を捉え、県外から新規就業者の確保に積極果敢に取り組むことが重要であると考えております。

そこで、来る八月、農林水産業の就業希望者に絞ったとくしま回帰セミナーをオンラインで開催し、先輩就業者の本県への移住体験や、半農半Xを実践する海部きゅうり塾の取組など、本県ならではの紹介を通じて、セミナー参加者の関心を高め、県外からの新規就業者獲得につなげてまいりたいと考えております。

また、農山漁村での新たな働き方として、全国トップクラスのサテライトオフィス誘致を誇る本県の強みを生かし、リモートワークの拡大を背景に、地方で仕事を行いながら副業として農林水産業に従事する新たな環境づくりを、就農ビジネスを模索する民間事業者と連携し、検討してまいります。

さらに、本年五月の国への政策提言におきましては、地方、とりわけ農山漁村への人の流れを加速化する方策として、農林漁家民宿でのワーケーションや農業体験の促進、コワーケーションを活用した地域づくりへの支援策などを提言したところであり、こうした取組は新たな担い手確保につながるものと考えているところでございます。

今後とも、本県農林水産業がとくしま回帰の受皿として輝き、新たな担い手が次代を創造し、地域活性化の原動力となるよう、担い手の確保に全力で取り組んでまいります。

⑩認知症の方々の社会参加について御質問をいただきました。

我が国では、二〇二五年には、六十五歳以上高齢者の五人に一人が認知症になると見込まれるなど、多くの人にとって認知症が身近なものになっております。

これまで、県においては、関係機関と連携し、県内各地で認知症サポーターを養成した結果、本年三月にはその数が十万人を超えました。このように、認知症の方を温かく見守る応援の輪は県下一円に広がっておりますが、認知症サポーターの方々からは、活躍の場を広げ、様々な場面で認知症の方々のお役に立ちたいとの声も聞かれるところです。

そのため、県としましては、認知症の方々の社会参画に向けた思いと、それを支えようとする認知症サポーターの方々の熱意をつなげるネットワークであるチームオレンジの取組が、地域の実情に応じた多様な形で展開されるよう、地域における活動の中核を担う認知症地域支援推進員に対し、ネットワーク研修会などの場を通じ、好事例の共有などに取り組んでまいります。

また、認知症の進行を緩やかにするためには、認知症の方々の社会参加を促すことが有効であることから、これまでも取組をしてまいりましたが、議員お話しの農業に関する事例として、県内では、藍の栽培復活に向けた共同作業が行われ、このほかにも、お遍路さんを接待するお遍路カフェなども行われております。

このように、認知症の方々が主体的に関わる多様な活動が、参加者の心身のリハビリテーション効果や生きがいづくりにつながっていることを踏まえ、今後とも、認知症の方々が自分らしく生きられる地域社会の実現に向け、市町村や関係団体との密接な連携の下、認知症の方々と認知症サポーターの方々の双方の活動の場をさらに充実してまいりたいと考えております。

答弁に対するコメント

(庄野議員登壇)

それぞれ御答弁をいただきました。ありがとうございます。
おおよそ全ての御答弁において、私は満足しております。精いっぱい答弁していただいたものと感じております。コメントを申し上げたいと思います。

まず、高病原性鳥インフルエンザ対策につきましては、知事から、感染防止に向けた力強い答弁がございました。

一旦発生すると、大変多くの方々に御心配をかけ、また多くの方々の御協力がないと封じ込められないということはもう昨年分かりました。これから本県養鶏産業を守るためにも、また本県のブランド地鶏阿波尾鶏を守るためにも、これからも力強い防疫体制の確立についてお願いを申し上げておきたいと思います。

県消費者情報センターにつきましても、瀬尾政策監のほうから力強い御答弁をいただきました。

消費者情報センターのアミコビルへの移転を好機と捉えながら、より県民が相談に来訪しやすく、効果的な注意喚起と啓発も可能になるような新しい施設となりますように、期待しておきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

また、ワーケーションの展開につきましては、知事から答弁をいただきました。

午前中からも、多くの方々がワーケーションのことについては触れられましたけれども、やはりアフターコロナを見据えて、大都市部での仕事から地方への仕事や移住を希望するといった声はますます大きくなってくるものと思っております。この機を逃さずに、積極果敢に取り組んでいただきたいと思います。

また、農林水産部長からは、担い手対策、担い手確保について御答弁をいただきました。
地方回帰の流れを捉えて、他県に先駆けて、県内外から、農林水産業をなりわいにしたいという方を呼び込んで、未来の担い手として定着していただき、地域活性化に努めていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

認知症の方の社会参加の推進につきましては、伊藤部長のほうから御答弁をいただきました。

認知症サポーターの件につきましては、私どもの会派で、熊本県の蒲島知事さんのところにお伺いしたところ、認知症サポーターの重要性を熊本のほうではかなり重要に捉えているというふうなことが分かりまして、この議会でも臼木議員のほうから、認知症サポーターの拡大についての声を求めましたところ、今の答弁では、十万人を超える方々が認知症サポーターに登録されているということで、本当に取組に対しまして敬意を表する次第でございます。

今後は、サポーターの皆様方の応援をいただいて、仕事などのマッチングにも取り組まれるということでございました。社会参加が進み、共にみんなで支え合い暮らしていける優しい社会となることを心から願っております。温かい御答弁をいただき、ありがとうございました。

結びに当たりまして、我が会派の高井議員が、県議会議員という立場から、地元三好市のリーダーへとチャレンジされます。これまでの政治経験を生かし、温かい三好市、市民から信頼されるリーダーとなられんことを心から祈念しております。高井さん、頑張ってください。

これで私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

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